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無症候性弁血栓症(SLT)に対するエドキサバンの消退効果に関する論文がScientific Reports誌に掲載されました

熊本大学病院の大塚康弘先生(循環器内科)、石井正将講師(医療情報経営企画部)、辻田賢一教授(循環器内科学)らは、心房細動(AF)を伴う重症大動脈弁狭窄症に対して経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を施行した患者を対象に、無症候性弁血栓症(SLT)に対するエドキサバンの消退効果を検討し、その研究成果をScientific Reports誌に報告しました。
本研究はTAVIを施行する5施設 (熊本大学病院・済生会熊本病院・熊本中央病院・熊本赤十字病院・福岡徳洲会病院) の多施設共同前向き単群試験 (ENRICH-AF TAVI study)で、TAVI後1週間及び3ヶ月後に施行した造影CTで検出したTAVI弁の最大低輝度弁尖肥厚(MLT)の変化およびSLTについて、総合的血栓形成能評価システムであるT-TASによる血栓形成能の評価と数値流体力学(CFD)解析によるTAVI弁周囲の血流解析を行いました。術後1週間でSLTを認めた患者はMLTの増加を有意に認め、またT-TASによる血栓形成能は術後1週間で著しく低下し、3ヶ月後には改善傾向を示しました。CFDで評価したTAVI弁周囲の血流うっ滞はMLTの厚さと相関があり、SLTを有する弁尖で血流が淀んでいる可能性が示唆されました。
これらの知見はTAVI後の弁血栓の形成機序の解明に寄与するものと思われます。興味のある方は、ぜひご一読ください。

Subclinical leaflet thrombus in patients with severe aortic stenosis and atrial fibrillation -ENRICH-AF TAVI study | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-024-65600-5

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