Message from Professor of Medicine

教授挨拶

  • 熊本大学大学院循環器内科学講座
    教授/診療科長

    熊本大学病院
    病院長特別補佐/心臓血管センター長

  • 心臓病から命を救い、心臓病を解明するために

     熊本大学循環器内科のHPをご訪問下さり、有難うございます。新型コロナウイルス感染症の蔓延が長引く中、経験したことのない自粛を余儀なくされ、つらい毎日をお過ごしの皆さまの心中をお察し申し上げます。感染拡大地域を中心に医療崩壊が懸念されていますが、一方で私たちが取り扱う心臓血管疾患は生命に直結する疾患でありますので、本来提供されるべき医療が等しく提供でき、守るべき命が守れる医療体制を維持したいと願っております。当院は熊本唯一の特定機能病院として、熊本県の循環器医療の文字通り最後の砦として、高度循環器診療を提供し続けるという強い覚悟を持ち、スタッフ一同、日々努力をしております。県民の皆様におかれましては、この点どうか安心していただき、感染予防の社会的アクションに取り組んでいただきたいと、心よりお願い申し上げます。
     熊大循内の今を簡単に紹介いたします。
     診療面は、坂本憲治客員准教授の指導の下、エキシマレーザー、ロータブレーター、ダイアモンドバックを活用しながら心筋梗塞や狭心症に対する高難度カテーテル治療を山永健之特任助教、藤末昂一郎助教が担当し、良好な成績を収めています。治療の舞台となるカテーテル検査室も最新鋭の機種に更新して頂き、放射線の線量低減が得られ、複雑な治療も可能になっています。不整脈は、金澤尚徳特任講師/伊藤美和特任助教が、帰局した星山禎特任助教と協力しアブレーション2室併施体制を達成、EnSite/CARTOという最先端の心内電位Mapping Systemを駆使し、心房細動など頻脈性不整脈の根治を目指しています。花谷信介外来医長が加わった心不全チーム(高潮征爾病棟長/鈴木達特任講師/山本正啓医員)、ドイツ・ボン大学留学から帰国の田畑範明特任助教が加わった構造的心疾患インターベンション(SHI)チーム(海北幸一准教授、宇宿弘輝中検助教)、国立循環器病研究センター(国循)から帰熊の平川今日子特任助教が加わった肺高血圧チーム(慢性肺血栓塞栓症に対するバルーン拡張[山本英一郎診療講師])、といずれの診療チームも活性化されており、すべての循環器疾患の領域をカバーし県内外からの御紹介に対応しております。
     研究面もアクティビティ向上が得られました。AFIRE研究は、小川久雄前教授(現国循理事長)の御指導の下、安田聡特任教授(国循)と海北幸一准教授が主導、N Eng J Medに昨秋主論文が掲載され、世界中の抗血栓薬ガイドラインを刷新しています。また中村太志医療情報医学准教授は、ジョンズ・ホプキンス大学のDavid Kass博士と共著で、PKG-TSC2-mTORCを介する新規シグナル伝達機構の病的心肥大における意義をNatureに報告しました。学内においては、髙江将史医師のAm J Hypertens(収縮低下性心不全[HFrEF]患者における脈波伝播速度の予後予測能)、尾池史医師のInt J Cardiol(収縮保持性心不全[HFpEF]患者におけるa’の予後予測能)をはじめ多くの大学院生が学位論文をまとめ上げました。また、鈴木達特任講師、末田大輔特任講師は独自の切り口で、H₂FPEF Scoreの臨床的有用性を、ESC Heart Fail(一般外来一次予防患者での有用性)、Am J Hypertens(予後予測能)にそれぞれ報告しました。有馬勇一郎助教、荒木智医局長は、大学院生や海外からの研究者を指導し、「ミトコンドリアタンパクのアセチル化を介した (HFpEF)病態形成機構の解明」などのテーマで基礎研究を推進しています。
     これらの診療、研究の活性化には若い力が欠かせませんが、今年も多くの仲間が加わりました。2018(平成30)年卒業の大野美結先生、鶴崎祐太先生、長倉拓究先生、永友克己先生、松永光平先生の新レジデント5名と、2015(平成27)年卒業の牧雄二先生の計6名が新規入局しています。また、2020年5月1日付、心血管治療先端医療寄附講座特任教授に、杏林大学から松下健一先生が着任されました。Victor Dzau博士に薫陶を受けられた御経験を遺憾なく発揮頂き、当科のリサーチアウトプットをさらに向上して頂けるものと確信しております。
     最後になりましたが、新型コロナウイルス感染症の流行が一日も早く収束することを心から願っております。未曽有の感染症との戦いに勝利した世界において、私たちの診療技術や研究成果が一人でも多くの患者さんの命を救うことを信じ、熊本大学循環器内科同門約300名の力を結集し、診療や研究に日々精進いたします。志を同じくする多くの医学部学生、研修医、レジデントとともに未来の循環器医療を切り開きたいと思います。皆様の健康を願い、私の挨拶といたします。2020(令和2)年5月1日 辻田賢一

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