
Message from Professor of Medicine
教授挨拶-
熊本大学大学院
生命科学研究部
循環器内科学
教授熊本大学病院
副病院長/心臓血管センター長/循環器内科長
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若い力と循環器病の本質を見つめ続ける
当科は、来る2023年、創設40周年を迎えます。全国の名だたる循環器内科学教室の歴史と比較致しますと、まだまだ若い教室であり発展途上にあると認識しております。しかし一方で、わずか40年足らずの間に、多くの研究業績、診療活性化を得、全国の、世界のCardiologistsに認識されるに至ったのは、初代泰江弘文教授、二代小川久雄教授の圧倒的なリーダーシップと同時に、同門の先生方の献身的なご努力、熱意であると、改めて感じます。
泰江弘文教授は、冠攣縮の診断から治療に至る幅広い研究を展開され、さらにBNPなど心血管内分泌研究を深められました。小川久雄教授は、Non-Q MI、凝固線溶系など冠動脈疾患を中心に循環器全般の臨床研究、疫学研究を日本に確立されました。お二人に共通することは、「患者さんをよく診て深く識ることで、その現象に潜むメカニズムを推察し、基礎臨床研究で明らかにする」というスタンスであります。そのご業績、研究成果は、時を経て色褪せるどころか、いま益々注目を集め輝きを放っています。
当院の循環器診療は、CTO、石灰化など高難度PCI、EVT、アブレーションやデバイス等の不整脈治療、TAVIやMitraClipなど構造心疾患インターベンション、VAD含めた心不全集学的治療など高度先進化していますが、その根底にあるものは、やはりお一人お一人の患者さんの病態を深く理解するという当科伝統の診療スタイルであります。
日々のカンファレンスで、レジデントの症例プレゼンを議論しながら思う事は、この40年間守られてきた当科の伝統を堅持し、若い力と循環器病の根底に存在する科学を模索する事が、熊本に、日本に、患者さんの心臓に思いを寄せる温かくまた研ぎ澄まされた循環器内科医を輩出する事に繋がるという当科の信念です。
今年も新レジデント5名と、大学院生1名の計6名が入局し、全国から多くの大学院生(基礎・医員・社会人)が入学しました。若手もベテランも皆、医局員一同、循環器病の本質を見つめ続け、日本の、世界の循環器診療の活性化と病態解明に寄与したいと思います。全国の研修医、レジデントの皆さん、循環器病学の未来を私たちとともに切り拓くべく“熊大循内”の門を叩いてくださることを心待ちにしています。
市民の皆様におかれましては、超高齢社会のわが国で健康長寿を目指す中、心血管病を避けて通ることはできません。かかりつけの先生と相談しながら、未然に受診なさり、当科の高度先進医療でより豊かな健康長寿を達成される事を心より願っております。 2022(令和4)年 辻田賢一