Message from Professor of Medicine
教授挨拶-
熊本大学大学院
生命科学研究部
循環器内科学
教授熊本大学病院
循環器内科長
心臓血管センター長/脳卒中・心臓病等総合支援センター長
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若い力と循環器病の本質を見つめ続ける
本年2023(令和5)年は、1988(昭和58)年12月の熊本大学医学部附属病院循環器内科開設から40周年の節目の年です。診療科としてその産声を上げた当科は、目の前の患者さんから学ぶ、という当科伝統のスタイルを堅持し、日本人における循環器病のエビデンスを創出してまいりました。本年全国の多くの先生方のご協力を得て、「2023年JCS/CVIT/JCCガイドラインフォーカスアップデート版 冠攣縮性狭心症と冠微小循環障害の診断と治療(班長:掃本誠治熊本市立植木病院長)」を発表できましたのも、先人たちの努力の賜物です(
)。循環器病の診断と治療は大きな進歩を遂げましたが、まだまだ未解明の点も多く、上記ガイドラインに初めて記載されたINOCA(Ischemia with nonobstructive coronary artery disease)もその一つです。狭心症状があるにも関わらず原因が分からず苦しんでいる患者さんの存在が懸念されます。当科では、INOCAの代表的エンドタイプである冠攣縮性狭心症や微小血管性狭心症を診療してきて経験から慢性冠症候群(chronic coronary syndrome:CCS)クリニックを月曜から金曜まで開設しておりますので、狭心症を有する患者さんをいつでもご紹介頂ければと存じます( )。診療においては、虚血班、不整脈班、構造的心疾患班、心不全班、肺高血圧班、エコー班と全領域で、最先端の診断、治療を提供し、患者さんの症状緩和、予後改善に努めています。
また昨年当院が採択されました厚労省の脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業ですが、全県下の拠点医療機関にも相談支援窓口を設置頂き、支援の輪を拡げる方針です( )。同門の先生方にも作成補助頂きました“くまもと県脳卒中・心臓病ノート”も立派な疾患啓発資料として完成いたしましたので、是非ダウンロードの上ご活用頂ければ幸いです( )。心臓病の患者支援の枠組みの中で最も重要な取り組みは心不全患者さんの再入院予防です。慢性心不全看護認定看護師、心不全療養指導士の皆さんと力を合わせ、PHRの力も借りながら、心不全患者さんのQOL向上に挑戦してまいります。
今年もレジデント、大学院生と多くの若い力が加わってくれました。若手医師のかけがえのない一年一年が有意義なものとなるようスタッフ全員でサポートする所存です。全国からの参加を歓迎しますので、お気軽に医局までお声がけください。 2023(令和5)年5月15日 辻田賢一