Message from Professor of Medicine

教授挨拶

  • 熊本大学大学院循環器内科学
    教授/診療科長

    熊本大学病院
    副病院長/心臓血管センター長

  • 切れ目ない心血管診療体制と健康寿命延伸を目指して

     熊本大学循環器内科HPをご覧いただき有難うございます。
     新型コロナウイルスの感染再拡大によって、熊本においても医療提供体制が困難な状況に陥っていますが、平時の時と変わらず、必要な心血管診療を必要な時に提供できるよう県内すべての循環器内科医が全力で取り組んでいます。胸痛や動悸、息切れといった症状が出現した場合、“コロナが落ち着くまで我慢しよう”と受診控えなさらぬようお願いいたします。
     当科の診療を御紹介します。PCI/SHI班は、冠動脈や末梢動脈が詰まったり、石灰化が強かったりする重症症例に対する高難度のカテーテル治療を展開し、大動脈弁狭窄症に対するTAVIも洗練されてきました。さらに、閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的中隔心筋焼灼術 (PTSMA)、脳塞栓予防に向けた経皮的左心耳閉鎖システム、潜因性脳梗塞に対する経皮的卵円孔開存閉鎖術と幅広く構造的心疾患インターベンションを取り入れ、令和3(2021)年7月にはいよいよ経皮的僧帽弁クリップ術MitraClipを開始します。不整脈班は、EnSite/CARTO/Rhythmiaの3つのMappingシステムを駆使して丁寧かつ積極的なアブレーション、また積極的なデバイス治療を行っています。心不全チームも心エコーチームと連携し、ImpellaやVADといった左室補助デバイスを含む難治性心不全マネージメントを一手に担っています。さらに肺高血圧班も熊本で唯一のバルーン肺動脈形成術(BPA)施行医を有し先進的肺高血圧診療に当たっています。コロナ禍にあっても県民の皆様が最先端医療を享受されるよう努力を続けてまいります。
     研究面も大きな成果を上げることができました。当科で取り組んだ研究成果をNature姉妹誌Nat Metabはじめ国際英文誌に報告できましたが、これからも、臨床研究のみならず、“臨床視点からの基礎研究”をさらに活性化させ、新たな病態解明、治療開発につながる研究を目指してまいります。
     一方で、これらの診療や研究を促進する法整備が進んでまいりました。平成30(2018)年12月に成立し、令和元(2019)年12月に施行された循環器病対策基本法です。健康寿命の延伸や年齢調整死亡率の減少を大きな目標にしています。高齢化の進む我が国においては、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現が必要ですから、健康寿命を延伸し平均寿命との差、すなわち心血管病により日常生活に制限のある期間を短縮していくことが重要な課題です。令和2(2020)年10月、国の循環器病対策推進基本計画が取りまとめられ、今後いよいよ熊本における具体的な取り組みが進められます。救急医療に関しては、熊本は全国に誇る循環器救急先進地域ですが、健康寿命の延伸には、そもそも心血管病にならないための予防と、救命後の回復期医療との切れ目ない連携が課題です。オール熊本の力でこの目標を達成できるよう皆様のご助言ご支援をお願いいたします。
     この大きな目標達成には多くの若き力が必要ですが、今年も新レジデント6名と、後期レジデント1名の計7名が入局し、また医局内のみならず全国の医療機関から多くの大学院生(基礎・医員・社会人)も入学してくれました。心血管病は症状を和らげる対症療法は発達してきましたが、疾病の原因に基づいた疾患特異的治療は発展途上ですので、彼らとともに新たな病態解明、新たな診断法・治療法を開発していく所存です。
     心血管病は誰にでも起こり得るとても身近な疾患です。皆さんがご覧になったこのHPの情報が心血管病を理解し、予防し、適切に治療なさる一助となれば嬉しく思います。また私たちの取り組み、目標に賛同してくださる全国の若き研修医、レジデントの参加を心待ちにしています。2021(令和3)年4月30日 辻田賢一

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