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構造心疾患に対するカテーテル治療

  • 2021.06.1 |

構造心疾患インターベンションとは

心臓カテーテル治療といえば、狭心症や心筋梗塞に対する治療が一般的ですが、近年は心臓弁膜症など、器質的な心疾患に対するカテーテル治療が注目を集めており、「構造心疾患 (structural heart disease; SHD)インターベンション」と呼ばれています。 当院では、閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的中隔心筋焼灼術 (PTSMA)、大動脈弁狭窄症に対する経皮的大動脈弁留置術 (TAVI)、僧帽弁逆流症に対する経皮的僧帽弁尖接合術 (MitraClip)、非弁膜症性心房細動に対する経皮的左心耳閉鎖術 (WATCHMAN)、潜在性脳梗塞に対する経皮的卵円孔閉鎖術 (PFO closure)などの治療に取り組んでいます。 循環器内科だけでなく、心臓血管外科、麻酔科、放射線科、看護師、放射線技師、臨床工学技士、生理検査技師ともカンファレンスで議論を交わし、患者様にとっての適切な治療を適切なタイミングで提供することを目指しております。

TAVIとMitraClip

経皮的大動脈弁留置術 (transcatheter aortic valve implantation; TAVI)とは、重症の大動脈弁狭窄症に対する根治的なカテーテル治療です。 多くの場合、開胸をすることなく、心臓を止めることなく生体弁を留置することが可能です。 患者様の状態にもよりますが、近年は局所麻酔により約1時間程度の手技で治療を行い、非常に良好な成績をおさめています。 本邦にこの治療法が導入された2013年では、TAVIは心臓外科手術が困難または高リスクに対しての代替治療の位置付けでしたが、海外からの最新データでは、心臓外科手術が中リスク、さらには低リスクの症例でもTAVIが有効であったことが報告されており、重症大動脈弁狭窄症に対するTAVIの適応は今後ますます拡大していくことが予想されています。

経皮的僧帽弁尖接合術は、MitraClipデバイスを用いたカテーテル治療で、TAVIと同様に開胸することなく、また心臓を止めることなく、低侵襲で僧帽弁逆流症の治療が可能です。 僧帽弁は2つの弁尖からなっていますが、MitraClipでは両方の弁尖をつまんでクリップをかけ、僧帽弁の逆流を少なくします。 近年、この治療効果を検討した臨床試験の結果が発表されましたが、心不全の再入院および死亡率を低下させたという報告も得られております。 本治療は、2018年4月に保険償還となり、現在は第4世代のデバイスであるG4システムでの治療が可能となっています。

脳卒中予防インターベンションについて

当院では循環器内科と脳神経内科の共同チームを結成し、脳卒中予防のためのカテーテル治療にも取り組んでいます。 その一つがWATCHMANデバイスを用いた経皮的左心耳閉鎖術です。 「非弁膜症性心房細動」は、心臓内の左心房に血栓を形成し、脳梗塞の原因となることが知られています。 この血栓は多くの場合、左心房内の「左心耳」という部位に形成されることが分かっており、本治療法は血栓の原因となる左心耳に、カテーテルを用いて閉鎖デバイスを留置する手技となります。 心原性脳梗塞を繰り返す症例や、出血性合併症のために血栓予防のための抗凝固療法が長期間継続できないような症例は、本治療法が良い適応となる可能性がございます。

また、経皮的卵円孔閉鎖術とは、カテーテルを用いて心臓の卵円孔開存 (PFO)を閉鎖する治療です。 PFOは健康な成人のおよそ4人に1人に存在していると言われ、通常は症状もなく、治療の必要もないとされていますが、患者様によっては脳梗塞を起こしうる危険な血栓がPFOを通過し、脳に達することで脳梗塞や一過性脳虚血発作の原因となりうると考えられています。 当院では脳神経内科と密に連携を行い、適応を慎重に検討し、これらの脳卒中予防のためのカテーテル治療に取り組んでおります。

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