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〜心不全の早期発見・モニタリングへの応用に期待〜

AMI株式会社(代表取締役CEO:小川 晋平)と熊本大学大学院生命科学研究部循環器内科学(研究代表者:辻田 賢一 教授)を中心とする研究グループは、深層学習(ディープラーニング)を用いて、心臓の負担を非侵襲的に評価する新しい技術を開発しました。本研究成果は、Circulation Journal誌に掲載されました。

心不全は、高齢化に伴い患者数が増加しており、再入院率や死亡率も高い疾患です。早期発見と適切な治療が重要ですが、従来の診断方法には課題がありました。心不全の診断には、血液検査でBNPという物質の値を測定する方法が広く用いられています。しかし、血液検査には時間がかかり、患者さんに負担がかかるという問題点がありました。

本研究グループは、心臓の音と心電図を同時に記録できる小型の医療機器デバイスである 心音図検査装置AMI-SSS01シリーズと、AI技術である深層学習を組み合わせることで、血液検査を行わずにBNP値を推定する新しい技術を開発しました。この技術は、わずか8秒間のデータ測定でBNP値を推定できるため、患者さんの負担を軽減し、迅速な診断を可能にします。
今回の研究では、複数の医療機関で収集されたデータを用いて、開発したAIモデルの性能を検証しました。その結果、AIモデルは高い精度でBNP値を推定できることが示されました。

今後は、本技術を用いて、心不全の早期発見や、心不全患者さんの状態モニタリングへの応用を目指します。また、BNP値は体格や腎機能、心房細動等の影響を受けることがわかっており、今後はAI技術の推定精度への影響も含めて、検証を進めていく予定です。ご興味のある方はぜひ下記のリンクからアクセスください。

論文タイトル:Deep Learning for Cardiac Overload Estimation — Predicting B-Type Natriuretic Peptide (BNP) Levels From Heart Sounds and Electrocardiogram —
著者:Shimpei Ogawa, Masanobu Ishii, Shumpei Saito, Hiroshi Seki, Koshiro Ikeda, Yuhei Yasui, Tomohiro Komatsu, Ginga Sato, Noriaki Tabata, Mitsuru Ohishi, Takuro Kubozono, Naritatsu Saito, Eri Toda Kato, Xiaoyang Song, Masahiro Yamada, Shunsuke Natori, Yuki Kunikane, Takafumi Yokomatsu, Masashi Kato, Yasuaki Sagara, Nami Uchiyama, Nobuhiko Atsuchi, Shota Kawahara, Shoji Natsugoe, Kenichi Tsujita
URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-25-0098/_article/-char/en

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