Research Activity

研究紹介

心エコーグループ

  • 2021.06.1 |

1) 心臓超音波検査を用いた非侵襲的心機能評価の研究

高齢化社会の到来とともに、様々な原因による心機能障害を示す方の割合が増加しており、種々の生理機能検査による非侵襲的心機能評価が行われています。中でも超音波検査機器の機能向上は著しいものがあり、心疾患の原因の究明や治療法の選択・効果判定などに非常に役立っています。私たち心エコーグループは高血圧グループ(山本、末田、藤末)や心不全グループ(高潮)など循環器内科の他のグループや、中央検査部、心臓血管外科、神経内科など、熊本大学内の他部署と共同で各種疾患の心機能に関する研究を行っております。

最近では、経カテーテル手術や外科手術の適応である弁膜症や、高齢化に伴い罹患率の上昇が危惧される心アミロイドーシスなどについて、超音波検査の新しい評価法(3D心エコー、ストレインエコー)を用いて臨床研究を行っています(図1、図2)。

2) 熊本県心血管エコー検査標準化プロジェクト

本プロジェクトは、心エコーグループと熊本大学病院臨床検査技師が主導し、県内の心血管エコー図検査に関わる臨床検査技師や医師と連携することで、熊本県全域の心血管エコー図検査の現状評価と、同検査の質の向上を目指す地域医療活動計画であり、2018年8月より活動を開始しております(https://k-chop.jimdofree.com/)。

本プロジェクトでは、まず熊本県内の心血管エコー検査の現状評価のため、熊本県内で循環器内科を標榜するすべての医療施設(全366施設)に対しアンケート調査を行いました。約7割の施設から回答を得て解析した結果、心エコー検査の施行率が経年的に増加していること、熊本医療圏(熊本・上益城)以外の医療区域では、心エコー検査の施行率が極端に少ないことが分かりました(図3、図4)。

このような実態が明らかになったことを受け、2018年~2019年にかけて、阿蘇地域、天草地域、宮崎県延岡地域において心血管エコーの出張ハンズオンセミナーを開催し好評を得ました。引き続き球磨地域や熊本県北地域でもハンズオンセミナーを予定しておりましたが2020年より蔓延したCOVID-19のため、これらのハンズオンセミナーは断念せざるを得ませんでした。

このwith CORONA時代において医師・技師の心血管エコー検査の質の維持・底上げは重要な課題であり、この解決のため2020年7月より熊本県内の数多くの医療機関と合同でZoomを用いた多施設共同心エコーミーティングを開始しました。現在熊本県内外の40以上の医療機関と多くの先生方がこの心エコーミーティングにご参加頂いており、自施設の左室壁運動評価や弁膜症評価を他施設と比較検討することが出来ること、超音波専門医が不在の医療機関においても超音波専門医の先生のコメントを頂けることから非常に有意義なミーティングとなっております。現在も新規参加施設を募集中ですのでご興味のある方は、k-chap@kumamoto-u.ac.jpまでご連絡ください。

私たちはこのような取り組みを通して熊本県の心血管エコー検査の底上げ・均てん化を図り、熊本県のどの医療機関で心血管エコー検査を受けても同等のレベルの心血管エコー検査を受けることができるようになることを目的として活動を行っております。

3) 先天性心疾患

複雑心奇形術後のお子さんが、成人になってきています。成人になると高血圧、糖尿病、心房細動などの不整脈も合併しやすくなります。また、先天性心疾患を持つ方の妊娠、出産も考える必要が出てきています。小児科から内科へのスムーズな移行が重要ではないかと思います。先天性心疾患患者を大学の方にご紹介いただけるとありがたいです。

 

心エコーグループメンバー

河野 宏明  教授(環境社会医学部門)

宇宿 弘輝  助教(中央検査部)

中田 恵実  パート医員

尾池 史   医員大学院 3年

森岡 真美  医員大学院 1年

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